Published on 10.12.04
【香港虎の巻62】周辺にはB級グルメの名店もいっぱい…いまはなき悪の巣窟「九龍城」跡地にできた公園を訪れてみた
かつての魔窟「九龍城」はいま…
かつては悪の巣窟と恐れられたスラム街「九龍寨城 Kowloon Walled City」。
1994年に取り壊され、「九龍寨城公園 Kowloon Walled City Park」として生まれ変わりました。
かつての魔窟がいまはどんな姿に変化したのか、今回は九龍寨城の「昔といま」をご紹介したいと思います。
ところで、九龍寨城はどうして「悪の巣窟」と恐れられていたのでしょうか。
香港がイギリス領だったころ、イギリスと中国との対立から、この地区は例外として租借地から除外されました。
そのため、事実上イギリスでもなく中国でもない、どこの国の法もおよばない無法地帯となってしまったのです。
その後、中国大陸から難民がなだれ込み、バラックを建設。スラム街へと肥大化していきました。
日比谷公園の5分の1ほどの広さに、ピーク時には3万人ほども住んでいたそうですよ。
どこの国の警察権力もおよばないこの地区では、当然のように日常的に麻薬や売春など違法行為が行われ、そのため人々から「魔窟」と恐れられるようになったのです。
その後、香港の中国返還が確定すると、1993年から1994年にかけて取り壊し工事が行われ、住民は強制移住を余儀なくされました。
そして、再開発後の1996年に現在ある公園が造成されたのです。
尖沙咀からバスで20分ほどで到着する「九龍寨城公園」
「九龍寨城公園」は、世界一着陸がムズカシイと言われていたかつての「啓徳機場 KAI Tak Airport」のすぐ北西に位置しています。
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尖沙咀フェリーターミナル前のバスターミナルから1番のバスに乗ると、だいたい20分ほどで公園の入り口に到着。
↑公園の南口門。
さて問題の公園ですが、魔窟を感じさせるものは…なにひとつありません。
↑かつての城壁が残っています。
のんびりとした公園内に残るのは、ほんの少しの遺物だけ
現在の「九龍寨城公園」は中国様式の美しい公園で、太極拳をする人や日向ぼっこをする老人など、のんびりとした平和な景色が広がっています。
かつての姿を残しているものといえば、南門近くにある建設当時の門の跡や住民の生活用水として使われていた井戸の跡、大砲などでしょうか。
↑九龍寨城の建設当時の南門の跡。
↑井戸にはフタがかけられています。
当時の様子が知りたければ「衛府」に行ってみよう
これだけでは「魔窟」時代を想像するのはちょっとムリですが、公園の管理事務所にもなっている「衛府 Yamen」と呼ばれる歴史建築物のなかには展示場があり、映像や写真などで当時の姿を垣間見ることができます。
↑管理事務所にもなっている「衛府」。大砲も展示されています。
↑「衛府」のなかに入ると、建物のなかにさまざまな展示があります。
都市計画もなくアパートが建てられていたので、アパートとアパートの間の幅はわずか1メートルほど。
複雑に入り組んだ通路は「一度入ると二度と出てこられない」と言われていたそうです。
十数階立てのアパートがビッシリと建っていたので、通路には陽が射さず、イギリス領ではないという理由で下水道も整備されていなかったので、通路は常に汚水でビショビショ、ジメジメしていたそうです。
水は水道管ではなくホースによって運ばれていたため、天井には電気や電話線、ホースが垂れ下がっていました。
漏電なんか日常茶飯事だったでしょうね。恐ろしいことです。
通路はただでさえ狭く、人の行き来が激しかったため、子供の遊び場といえば屋上でした。
屋上で遊ぶ子供たちの頭上を飛行機が飛んでいるのがわかりますか?
空港の目と鼻の先だったので、手を伸ばせば触れそうなぐらいの距離を飛んでいた飛行機。騒音もかなりのものだったはず。
こんなスラム街が一転して平和できれいな公園へと生まれ変わるなんて、近所に住んでいた人はビックリしたことでしょうね。
公園の近隣には、B級グルメの名店がいっぱい
近所といえば、この九龍寨城公園の近くには古いアパートが並んでいますが、じつはココ、B級グルメの隠れた名店が多いということで有名なエリアなんです。
とくにこの付近にはタイ人が多く住んでいることから、タイ料理の店が通りにズラリと並んでいます。
タイの食品を扱う雑貨店やスーパーもあり、まるでタイに迷い込んだかのように錯覚してしまいそうです。
そのほかにもエッグタルトで有名なケーキショップやイスラム料理の店もあります。
在りし日の九龍寨城に思いをはせながら、小腹を満たしてみるのも楽しそうです。
九龍寨城公園
開放時間:6時30分~23時(展示場は水曜休館)
アクセス:MTR利用の場合は觀塘線「樂富 Lok Foo」駅で下車、徒歩約10分
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